第13話 クチャ9月15日今日の出発時間はなんと7時。 眠くてあんまり朝飯を食べる気になれなかった。 しゃきっとしないまま、 途中は寝てやろうとランクルに乗り込む。 ワンさんが何か言ってるけど、耳に入れず眼を閉じる。 ところが、日中はあれだけ暑くなるのに、朝は寒いこと。 おまけに、昨日までの道と違って、 所々舗装が無いし段差が激しく、 おじさんの願望は無理みたい。 両側には草地が多いが、 道路は典型的な「いなか道」。 わだちに乗り上げて動けなくなってるトラックの横で 立ちションしてるおにいさんや、 自転車を引きながらろばと歩くイスラム帽のおじいさんなど、 随所に牧歌的風景に出くわす。 何か所かのオアシスを通過していたが、 途中、その一つで休憩することになる。 あくびばかりしてるおじさんを見て、 普段は無口のドライバー氏、何か中国語で言って、 両側に並ぶ露天の店に連れて行ってくれた。 その店の前には ラグビーボールみたいな緑色の物体が多数ころがっている。 ドライバー氏、その内の1個を手にとり、 持ってたナタで一太刀。 中身はメロン色のおいしそうなうり。 器用に種を取り除いて、 食べやすいよう切れ目を入れてくれる。 これが有名な「哈密うり」(はみうり)で、 砂漠で栽培されている数少ない果物のひとつ。 一切れ口にすると、これがまたおいしい。 すっかり元気になって Let's go! そして、5時間ほどで目的地のクチャ(庫車)に到着。 コルラから300km近くあり、 漢の時代に「亀茲国」(きじこく)として栄え、 シルクロードの中継地として 西域随一の勢力を誇った見所の多い都市である。 |